
今回は、保険担当者は『上手に聞くスキル』なんて不要になる…というお話です。
“いやいや、ビジネスマンたるもの傾聴スキルやコミュニケーション力は必須だろ”と思うかもしれませんが、これ、本当です。
というのも、自動車保険の損害担当者や事故受付のセンターでは、事故に遭ったお客さんから、まずは電話で事故状況を確認することが一般的です。
そして、電話から聞いた事故状況をベースに責任割合や対応方針を決めるので、保険会社にとって事故状況の確認はとても大切なポイントとなります。
でも、電話で事故状況を聞き出したりするのって、実はかなり大変なんです。
事故状況を上手に聞き出す力は、重要スキル
追突とかシンプルな事故状況であれば、電話でも簡単に事故状況を把握し、責任割合の判断も可能です。
しかし、そういったシンプルでない事故の場合は、道路の状況・自分の車の進行方向・相手の車の位置や動き・信号や標識の有無・接触した車の箇所など…様々確認することがあります。
ましてやお客さんが事故直後で現場から電話をかけて来ている場合、気が動転していて、うまく伝えられない場合もあり、そのようなお客さんをリードしながら事故状況を聞く力が求められていました。
電話で聞いた事故状況をもとに責任割合や対応方針を判断するのですから、しっかりと正確に確認する力が求めらるのは当然と言えば当然ですが。
そのため、お客さんから事故状況を上手に聞き出す力が求められ、研修などでもテクニックを習ったりするのですが、今後はテクノロジーの活用により、そんなスキルは不要になりそうです。
テレマティクス保険は、事故直後、事故映像が保険会社に送信される!?
というのも、近年、テレマティクス保険というものが登場し、自動車保険会社の事故対応やサービスが少しずつ変わりつつあります。
テレマティクス保険と言うと、あまりピンと来ないかもしれませんが、ドライブレコーダー型の保険と言えばイメージしやすいでしょうか。
ドライブレコーダー型の保険は、車に搭載したドライブレコーダーが、事故で大きな衝撃を受けると、自動的に保険会社に連絡してくれるサービスを持っているのが一般的です。
このドライブレコーダー型の自動車保険は、すでに5社以上から販売されていますが、その中には、接触で大きな衝撃を受けると、その接触の前後の動画が自動的に保険会社に送信されて、保険会社ですぐに確認ができてしまうものもあるんです。(現時点では、そうでない保険会社の方が多いですが)
また、自動車保険会社が提供する様々なスマホアプリなんかでは、GPSで事故場所を通知したり、画像が送れてしまうものもあります。
つまり、これまで電話で苦労しながら聞いていた事故状況の確認は、事故直後でも、動画や画像によって発で確認が済んでしまうんです。
『私は、事故の状況を聞き出すのが得意よ!』と誇らしげにしていた人たちには、残念ながら、そのスキルは、テクノロジーによって全く意味のないものになるのです。
逆に、これまで『事故状況を聞くのが苦手』『事故状況を聞くスキルについて、上司から何度か指導を受けて落ち込むことがある』という方にとっては、そんな悩みなどいつしか不要になるのです。
テクノロジーを活用し、使い倒すスキル
もちろん事故に遭われたお客様に寄り添い、リードしながらアドバイスしたり、お客様のニーズを的確に察知するスキルが不要になることはありません。
ロボットがいくらお客さんの不安な気持ちを察知して優しいフレーズや的確なアドバイスをしても、事故現場のお客さんが安心感を抱くことはないでしょう。
やっぱり、まずは土屋太鳳ちゃんみたいなオペレーターの方の生身の優しい声を聞くことで安心できる部分もあるので、これはロボットには代替できません。
しかし、特に保険業界は、今後テクノロジーの進化によって、これまで必要だったスキルが、まったく意味のないものになる…というシーンは確実に増えていきます。
つまり、部分的にどんなスキルが優れてるかなんて、あまりたいした意味はありません。
保険業界全体、事故対応全体、カスタマージャーニー全体…様々なことを全体的に俯瞰し、学び、それに適応するよう自分自身を変化させていく心がけが求めれます。
事故対応で言えば、テクノロジーを活用し、それを使い倒すくらいの担当者が優秀な担当者となるのです。