生命保険会社のインシュアテック


このページでは、生命保険会社のインシュアテックについて解説します!

生命保険分野における国内インシュアテックの市場規模は、2018年に690億円、そして、2021年には1,790億円(※)になるとも言われています。
(※矢野経済研究所による調査より)

では、実際、テクノロジーはどのように生命保険業界の現場で活用されているのでしょうか?

生命保険業界が抱えている課題についても触れながら紹介していきましょう!

うっちー
うっちー
末尾には、日本国内の生命保険会社のインシュアテック取り組み事例へのリンクも貼っています。ぜひこのページをブックマークしてね♪

生命保険業界の現状

生命保険について

生命保険会社は、生命保険(死亡保障)・学資保険・個人年金保険など、人の死亡や貯蓄に関わる保障を担う「第一分野」と、医療保険・がん保険・介護保険等の「第三分野」の保険商品を扱っている保険会社です。

生命保険(個人年金含む)の世帯加入率は89.2%(※)。日本の約9割の世帯が保険に加入していることになります。

生命保険会社が集める保険料は膨大で、特に1980年代後半のバブル時代は、海外から“ザ・セイホ”と呼ばれるほど日本の生命保険会社は国際金融界でも大きな影響力を持っていました。

その後、バブルは崩壊し、不況も長く続いてきましたが、それでも日本の生命保険市場は、現在、アメリカに次いで世界第2位となっています。

※生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」

生命保険分野におけるインシュアテック傾向

インシュアテックの導入によってもたらされるのは、主に、“画期的な保険商品やサービス”“業務における生産性向上”です。

この2つの視点で、生命保険業界におけるインシュアテックのトレンドを解説いたします。

画期的な保険商品やサービス

トレンド①:健康増進型保険

「健康増進型保険」とは、健康活動を促すような仕組みを持った保険商品です。

主に、医療保険の分野でこの仕組みを持つ保険商品が各社から続々と販売が開始していますが、例えば、“健康診断の結果を提出すると、保険料をキャッシュバック”、“歩いたら、その分保険料が安くなる”、“非喫煙者は、保険料が安くなる”等、その特徴は少しずつ保険会社によって異なります。

例えば、日本の健康増進型保険の代表的な商品である「Vitality(バイタリティ)」(住友生命)は、腕時計型のウェアラブル端末などを利用し、食生活、血圧や血糖値などの健康診断、歩数、心拍数などの健康増進活動をポイント化するといったヘルスモニタリングの手法によって保険料の増減があるという仕組みになっています。

また、健康診断の結果によって最大30%まで保険料が割引される仕組みを持つ等、健康活動を心掛けている契約者にとって大きなメリットがあります。

このような仕組みを提供することが可能になったのも、テクノロジーの活用によるものです。

従来、生命保険分野では、年齢・性別・病歴など、大まかな情報でしか保険料を決めることができませんでした。しかし、AI(人工知能)とビッグデータと呼ばれる膨大かつ複雑な情報を解析することにより、契約者によって個別の保険料を設定することが可能になったのです。

健康増進型保険が解決する保険業界の問題とは?

保険業界には、モラル・ハザードと呼ばれる切っても切れない根深い問題がありますが、この健康増進型保険は、その問題をも解決することができる点で大きな可能性を秘めています。

モラル・ハザードとは、“保険に加入しているから”という安心から、逆に油断や不注意が生まれてしまい、リスクの発生を促進させてしまうという考え方です。

健康増進型保険が普及していけば、“保険に加入しているから、健康や生活習慣には気を付けなくてもいい”…という意識を持った契約者を減らすことができます。

契約者が健康になれば、保険会社は保険金を支払う機会を減らすことができるので、収益を高めることができるのです。

健康増進型保険について詳しく知る

 ▶インシュアテックのトレンド:健康増進型保険とは?

2年目社員・あい
2年目社員・あい
健康増進型保険は、保険料も安くなって健康にもなれる!これはお客様にもオススメしやすいですね!

トレンド②:インターネットで加入できる生命保険

インターネットで加入できる生命保険は、生命保険募集人から加入する代理店型の保険よりも保険料が安く、加入の手続きがシンプルという特徴があります。

保険会社は、募集人への手数料を払う必要がなく、募集人を抱えるためのオフィスや経費といったコストも払う必要がないため、その分、保険料を安く提供できるのです。

そのため、インターネットで加入できる生命保険は、スマホに慣れ親しんだ若い20代・30代のファミリー層の加入者が多いのが特徴です。

そもそもインターネットで加入できる生命保険としては、2008年に創業したライフネット生命がその原点と言えます。2008年頃は、日本国内に“インシュアテック”という概念はまだありませんでしたが、保険料の安さとネットで手軽に加入できるというコンセプトがファミリー層に受け、今では株式を上場するところまで成長しています。

しかし、2013年頃以降、ライフネット生命保有契約数は伸び悩み、頭打ちになっている状態です。死亡・病気を扱う生命保険商品の特性や、保険料もユーザーが期待するほど以上に安くないという点がその原因だと指摘もされています。

そこで、ライフネット生命は、KDDI社と提携し、「auの生命保険」という新商品の販売を2016年4月から開始しています。

生命保険業界では、インターネットで加入できる生命保険商品を開発したり、異業種と提携することでインターネット販売を行うなどビジネス拡大が図られています。

参考:LINEの生命保険事業参入

今年2019年1月、LINEが生命保険事業へ参入することを発表しました。

LINEは、「LINEほけん」として2018年10月より、すでに損害保険商品を取り扱う事業を開始しています。

「LIENほけん」は、最短1分程度で手続きができ、1日から保険加入できる点や、キャンペーン期間中が無料で保険サービスが受けられる特典の訴求により、2018年10月のサービス開始から1か月で友だち申請(登録のようなもの)が530万人にも達したと発表されました。

商品ラインナップは約60種類ありますが、自転車保険、スマホ保険など、LINEユーザーの中心である20代にとって身近なリスク商品のニーズが高いようです。

現状の「LINEほけん」は、LINEは保険代理店として、その引き受けを損保ジャパン日本興亜が行っていますが、生命保険事業はどのように展開していくのか正式発表はされていません。

しかもユーザーは20代が中心ですから、この層に対して生命保険分野の商品が受け入れられるのかという点についても注目が高まっており、今後の動向に目が離せません。

2年目社員・あい
2年目社員・あい
100才まで生きるとすれば、保険金が支払われる約80年後までLINEを使っている必要があるわね…

業務における生産性向上

トレンド①:テクノロジーを活用した加入・支払い業務の迅速化

テクノロジーを活用することで、従来必要な手続きであった多くの書類への記載や印鑑押印といった煩わしいプロセスを省略することが可能になります。

これは、保険契約者やこれから保険加入する人にとっての負担が減るだけでなく、保険会社にとっての業務効率化になる点で大きなメリットとなります。

例えば、がん保険で有名なアフラックは、2018年12月から生体認証による生存確認によって、がん保険の診断給付年金を迅速に支払えるようにするサービス「即時支払いサービス」を開始しています。

アフラックの顧客は、これまでは郵送による書類提出の手続きなどが必要でしたが、スマートフォンを介した指紋認証や顔認証など富士通の「オンライン生体認証サービス」を利用することでアフラックのサイトへのログインし生存確認ができるようになりました。

この生体認証サービスの導入によって保険会社側で期待されるのは、書類郵送・書類管理といった業務が不要になることです。

また、従来の書類でのやりとりは契約者にとっても煩わしく、契約者からなかなか書類が返送されず督促のための連絡業務が増えたり、記載方法が分からないといった問い合わせへの対応も行う必要がありましたが、ユーザビリティが良くなることで、こういった対応も減らすことが可能になります。

うっちー
うっちー
書類手続きが面倒だ!…という理由で保険請求しないお客様って実は結構いるんですよね。

トレンド②:AIによる営業支援

インシュアテックは、保険営業の現場でも大きな役割と成果が期待されています。

その1つが、AIを活用した営業支援システムの活用です。

例えば、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命では、成績優秀な募集人の過去の面談データを蓄積し、AIがお客様の志向や性格に合わせて、適切な話題や質問を、適切なタイミングでオススメしてくれる機能を持った“対面営業支援システム”を2018年3月より導入しています。

保険の営業スタイルは、営業マンによってマーケットや年齢層も異なるため、属人的な要素が強いとされています。

そのため、優秀な営業マンのパフォーマンスを、他の営業マンが同様に再現することは難しいとされています。そして、成績不振の保険営業マンは、経験やノウハウが貯まっていく前に、生活できるだけのお給料を得られず退職に追い込まれてしまう…という問題を抱えています。

しかし、この“対面営業支援システム”を導入することで、過去の膨大なデータで裏付けされた成績優秀な営業マンのノウハウを誰もが再現できる…という訳です。

参考:AIは、保険営業マンの仕事を奪うのか?

手軽に安く加入できるインターネット生命保険が登場しても、実際にインターネットで保険に生命保険に加入している方は全体の3.3%(※)しかいないというデータがあります。
(※ 生命保険文化センター 平成30年度 生命保険に関する全国実態調査より )

つまり、生命保険は、保険会社の営業職員や保険代理店の募集人を通じた対面での加入がまだまだ主流となっています。

インターネット生命保険がそこまで普及しない理由には、保険金が数千万円といった規模の金額になることや、契約死亡・病気といったセンシティブな事を扱う生命保険商品の特性上、対面で直接話を聞いて契約手続きを行うことが、ユーザーにとっても安心して契約できるというメリットになっているからだと考えられています。

また、日本の生命保険業界が、「G(義理)・N(人情)・P(プレゼント)」とも呼ばれる、“人との繋がり”を重視する営業スタイルで築き上げられてきたという歴史も色濃く影響しています。

インシュアテックは、保険営業マンのパフォーマンスを最大化するため、もしくはそれ以上に引き上げるためのツールとして発展していくことが期待されています。

うっちー
うっちー
これからは、テクノロジーを上手く使いこなすことのできる保険営業マンが活躍しそうですね!

生命保険会社各社のインシュアテック事例